2012年9月8日土曜日

Rock'n Roll Suicide デイヴィド・ボウイ (David Bowie)

今回は Somebody That I Used To Know にいただいたコメントがもとでこの曲を選びました。そのコメントで,曲の冒頭部分にある「Time takes a cigarette, puts it in your mouth, You pull on your finger, then another finger, then your, cigarette 」という部分を私ならどう訳すかと聞かれたからですが,その時は,この曲のことも,ましてやその内容も知りませんでした。
そこでネットを検索して歌詞を探し出し,この部分の意味を調べてみたところ,その過程で次のようなコメントに出会いました:.
この曲は文字通り命を救ってくれた。当時本当にどんどん落ち込んでいってて,リストカットを繰り返して自殺を考えてた。とにかくなにもかもがイヤだった。ある晩,ipodをシャッフルで聴きながら,人生を終わりにしようと思ってた。10年間もうつ状態だったんだからもういいだろって感じだった。17歳だけどもう自分の人生はこれで終わりだって思ってた。そしたらこの曲が聞こえてきた。別にどうでも良かった。遺書を書くのに一生懸命だったから。それで手首を切ろうとした時,こう聞こえてきた:
ダメだよ そうじゃない 聞いてくれ お前はひとりぼっちじゃない
自分のことがわかってるつもりだろうけど
そんなの思い込みだ 間違ってる お前は悪いヤツじゃない
頭の中がめちゃくちゃになって,それで混乱してるだけ
そのことにどうか気付いて欲しい
ダメだよ 聞いてくれ お前だけじゃない
今まで何をやってきて,どんなヤツだったかなんでどうてもいい
いつどこでそう思ったのかも関係ない
世の中のナイフというナイフで,頭の中を切られてる そんな気がするんだろ?
わかるよ 自分もそうだったから 
その痛みだってわかってやれる 受け止めてやれる
お前はひとりじゃないんだよ
聞き終わって,こらえきれずに泣いた。人生これでお終いって時に,このメッセージを送ってくれた神に感謝した。David Bowieに言いたい。命を救ってくれてありがとう。立ち直るきっかけになりましたって。
一読して,これを書いた人と同じように涙を抑えきれなくなりました。まさにここで取り上げるべき曲だと思います。

A comment on Somebody That I Used To Know brought me to this song.  It asked me what it would be if I translated the opening lines of the song into Japanese : "Time takes a cigarette, puts it in your mouth, You pull on your finger, then another finger, then your, cigarette."
Not knowing the song nor the meaning, of the lines, I went on the web to find them out.  Then I came across this :
This song literally saved my life. I was spiraling down fast, cutting myself, contemplating suicide. Everything. One night listening to my iPod on shuffle I was considering ending it. After 10 years of depressio , who needs one more? I'm only 17 and I felt my time was up. Then this song came on, I wasn't paying attention really because I was writing a suicide note, then as I'm ready to slit my wrists, I hear, "Oh no love! you're not alone
You're watching yourself but you're too unfair
You got your head all tangled up but if I could only make you care
Oh no love! you're not alone
No matter what or who you've been
No matter when or where you've seen
All the knives seem to lacerate your brain
I've had my share, I'll help you with the pain
You're not alone
Just turn on with me and you're not alone "
after that I broke down and cried and thanked God for that message being given to me when I was about to end it. If I had one thing to say to David Bowie, it'd be thank you for saving my life and helping me get onto the road to recovery.
I broke down, too.  I believe this song should be heard.
Rock'n Roll Suicide  (David Bowie)
Time takes a cigarette, puts it in your mouth
You pull on your finger, then another finger, then your
cigarette
The wall-to-wall is calling, it lingers, then you forget
Ohhh, you're a rock 'n' roll suicide

You're too old to lose it, too young to choose it
And the clock waits so patiently on your song
You walk past a cafe but you don't eat when you've lived
too long
Oh, no, no, no, you're a rock 'n' roll suciide

Chev brakes are snarling as you stumble across the road
But the day breaks instead so you hurry home
Don't let the sun blast your shadow
Don't let the milk float ride your mind
You're so natural - religiously unkind

Oh no love! you're not alone
You're watching yourself but you're too unfair
You got your head all tangled up but if I could only make you care
Oh no love! you're not alone
No matter what or who you've been
No matter when or where you've seen
All the knives seem to lacerate your brain
I've had my share, I'll help you with the pain
You're not alone

Just turn on with me and you're not alone
Let's turn on with me and you're not alone
Let's turn on and be not alone
Gimme your hands cause you're wonderful [x2]
Oh gimme your hands.

時間の神は「青春時代」というタバコを取り出して,お前の口にくわえさせる
早速吸ってみるが何の味もしない 自分の指をくわえてるだけだからだ
それでその指を外して,もう一度吸い込んでみる やっぱりまだ何も起こらない
くわえてる指が変わっただけで,指のまま タバコじゃないから味なんかしない
そしてもう一度やってみる するとやっとタバコの味がしてくる 
「青春時代」を,その感動を今度は味わえるようになる
だけど火がついてしまったら,あとはもう止められない
「青春時代」っていうのはそういうものなんだ
やがて床一面にカーペットを敷き詰めたお前の「家」が目の前にちらつくようになる
「ありふれた大人の平凡な生活」が迫ってきて,そしてなかなか消えていかない
そうなってしまったらもうお前は忘れてしまう あの「青春時代」の感動を
いやだね そんな風になりたくない
だから,ロックンロールにこの身を捧げるんだ 年を取るまで生きたくない

一人では生きられないほど幼くもないけど,自分で人生を決められるほど大人でもない
子どもの頃,時計はなかなか進まない。
このままの状態が永遠に続くように思える
だけどそうじゃないんだ
「青春時代」がやってきたら,時間はあっという間に過ぎていってしまう
どんどん年を取っていく自分を止められない
「青春時代」の喜びが溢れるカフェが目の前にあったとしても
年を取ったらもう味わえなくなる
後に残るのは退屈でつまらない人生だけ
ごめんだね そんな風になりたくない
それくらいなら,ロックンロールに身を捧げて,若いうちに死ぬ方がマシ

だから大人にならなきゃいけない時期が来ると,必死にブレーキをかけて抵抗するんだ
ぐずぐすしてたら夜が明けて,大人の退屈な日常がやってくる
一刻も早く「家」へ,元いたところへ戻らなきゃならない 
だって眩しい太陽の光を浴びてしまったら,せっかくの自分の影が消えてしまう
牛乳配達の車みたいな日常に,心を乗っ取られてしまったらもうお終いなんだ
自殺を考えるのも不自然じゃない
そんなの普通の人間だよ 宗教で禁じられてるだけじゃないか

ダメだよ そうじゃない 聞いてくれ 
お前はひとりぼっちじゃない
自分のことがわかってるつもりだろうけど
そんなの思い込みだ 間違ってる お前は悪いヤツじゃない
頭の中がめちゃくちゃになって,それで混乱してるだけ
そのことにどうか気付いて欲しい
ダメだよ そうじゃない 聞いてくれ 
お前だけじゃない
今まで何をやってきて,どんなヤツだったかなんでどうてもいい
いつどこでそう思ったのかも関係ない
世の中のナイフというナイフで,頭の中を切られてる そんな気がするんだろ?
わかるよ 自分もそうだったから 
その痛みだってわかってやれる 受け止めてやれる
お前はひとりじゃないんだよ

だから一緒に人生を始めよう お前はひとりぼっちなんかじゃない
2人で探しに出かけよう お前だけじゃない
歩き出せ 一人だなんて思っちゃダメだ
さあ手をこっちに出して 差し伸べたこの手をつかんでくれ 
お前はすごい人間なんだ(2回繰り返し)
さあ大丈夫だから

(補足)

この曲の解釈はネイティヴの間でも定まっていません。ただリード文でもご紹介したように,この曲に救われたという人は少なからずいて,発表から40年ほど経過しているにもかかわらず,今でも圧倒的に支持されているようです。

今まで寡聞にしてこの曲を知らなかった私ですが,リード文のエピソードを読んだ途端,「これはなにがなんでも取り上げねば」と焦りにも似た気持ちになりました。

元の英語歌詞の分量と,訳文の分量の違いをご覧いただくとおわかりかと思いますが,訳文では,かなりの部分を私の想像で補っています。このため,歌詞が意図するところから離れてしまっている可能性も多分にありますが,抽象的な歌詞をなるべく具体的にという意図でやっていることなのでご理解ください。

また,この訳文は,例によって,妄想と思い込みで突っ走った私個人の勝手な解釈なので「こんな解釈は許しがたい!」とお怒りの方もおいでになるかもしれませんが,感動ゆえのやらかしとご容赦くださいますようお願い申し上げます。

この曲のタバコのモティーフについて,David Bowieは:

『人生はタバコと同じ。急いでふかして終わりにするか,それともゆっくり味わうか』という内容のボードレール詩の一節をパクったと1997年に語っているようです。

"That was sort of plagiarized line from Baudelaire which was something to the effect of life is a cigarette, smoke it in a hurry or savour it" - Bowie (1997)

(余談)

10代の頃の,よく言えば「純粋な」,有体に言ってしまえば「バカな」思い込みと行動力は何だったのか。あの頃,自分の中に全く根拠のない「全能感」を感じる一方で,同時に「無能感」も抱えていました。その2つに翻弄されて,大変混乱していたのを覚えています。自分は「スゴイ奴」なのか,それともただの「クズ」なのかわからずヘトヘトでした。

そういう状況で,高校生の頃,かの徒然草の「あだし野の露」の段に非常に共感したのですが,今目の前にその当時の自分がいたら,正座させて「甘いんだよ」と小一時間でも説教したいところです。


12 件のコメント:

  1. かの有名なDavid Bowieとはこれほどのカリスマだったのですね!初めて聴きましたが、これは神とも崇めたくなります。特に、10代で聴いていたら心酔していただろうなあ。
    パクリであろうと、冒頭の詞はかっこいい。歌い出しからしびれる。「人生はタバコと同じ」というのはヘビースモーカーな発想ですが、限りがある方がいいというのが「あだし野の露」で言われていることですよね。生き汚いタイプのわたしは、できるだけロングのタバコでも吸おうかな。(実際は吸ったこともないんですけど)
    それにしても抽象的な歌詞で、カリスマ性があってかっこいいけど、和訳の苦労が忍ばれます。おつかれさまでした。
    久々にEd以外でかっこいいと思いました(笑)すてきな選曲ありがとうございました。

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    1. コメントありがとうございます。少なくともリクエストなさった方以外にもお一人はこの曲の素晴らしさに共鳴してくださる方がおいでになるわけで,苦労して和訳した甲斐がありました。
      今はもう大人になってしまって,10代の頃のあの「ロケンロール」な発想は完全に霧散してしまいましたが,非喫煙者の私があえてタバコにたとえるなら,どのタバコを吸ってもいつかは終わりが来るのだから,それなら吸うタバコは好きな銘柄で,それを心ゆくまで大切に味わいたいと思います。
      ところで,別館で仰っていた「リクエスト週間」ですが,そんなに長い期間設けてしまっては,元の木阿弥になってしまいます。できるとすれば,スーパーのタイムサービスのような形ですね。
      とはいうものの,ai_i様のお好きなEdとMaroon 5については,私も好きなのでリクエストなさりたい曲が投稿される可能性は非常に高いと思います。タイムサービスは必要ないかもしれません。

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  2. David Bowieはさすがに知っていますが、ちゃんと音楽を聞いたことはなかったように思います。すごいですね。知らなかった。多くの人が信奉するはずです。詩も歌声もアレンジもメッセージも、知的で一級品な上に、心にずしんと響いてきます。1連目から3連目までと、4連目5連目で語り手が変わっているようですね。前半はteenagerの声のようで、後半は誰かはわからないけど、心の支えになっている人の声のような。(Skyfall症候群かもしれません) そういえば、学生時代くらいには、自分の40代なんて想像もできなかった覚えがあります。当時よく見聞きしていた漫画や小説、ドラマなどの影響でしょうか、主人公は常に若者で、中年といえば物語では脇役で、40代では人生はもう終わったも同然、くらいに思っていました。しかし、実際に40代になってみると、自分の人生の主人公は相変わらず自分でした。(当たり前だ)冒頭の男の子にも、まだ松の内ではありますし、ながらへば またこの頃や しのばれん、ということを伝えてあげたいです。

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    1. コメントありがとうございます。冒頭の自殺を思いとどまった方のお話は,自分で紹介しておきながら,読むたびに胸を打たれます。ただ,おそらくこの方,心の底では「生きたい」と願っていらしたのだと思います。だからこそこの曲が最後の最後で胸に響いたのではないでしょうか。
      これはあくまでも私見ですが,音楽や絵画といった芸術は,たとえて言うなら「塩」です。調味料としての塩がなくても人間は生きていけますが,塩があることによって,食事の味が格段に向上しますし,日持ちもするようになります。
      無論,「生存」という観点からすれば,明らかに必要度は低いのですが,「生活」という観点からすると,不可欠とも言うべきものです。そういうものを作り出せるアーティストが本当に羨ましいと思います。

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  3. 遅ればせながら、和訳ありがとうございました。わが青春の日々がよみがえり、お恥ずかしいのですがコメントさせていただきます。
    40数年前に、やはりこの曲とBowieに助けられました。そして紆余曲折を経て、還暦を過ぎて教員になりました。今、同じように悩む学生たちを前に、Bowieの力があればと自分の非力さが歯がゆい思いです。
    また、塩といえば「地の塩」という聖書の言葉が思い出されます。キリスト教徒ではありませんが、心に響く言葉です。
    これからも、すてきな訳を続けてください。

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。素晴らしい曲なので多くの方にお伝えしたいと思い,こちらで取り上げました。
      このサイトを維持していくのはそれほど簡単なことではありませんが,Fine to be 60様のような方のお役に少しでも立てるとわかっただけで,その苦労も報われる気がいたします。ありがとうございました。

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  4. 通りすがりです2013年10月11日 13:26

    対訳は個人の趣味もかなり入るので、批判するわけではないですが、
    例えば・・・失うには年齢(とし)をとりすぎた。選ぶには若すぎる・・・なんてシンプルな対訳がワタシ的には好みです。まあ、好き好きですからお気にせず。

    この曲はボウイのルー・リードへのラブレターじゃないかとも言われてました。アーティストや表現者というのは、フツーの人と自分は違うという、半ば優越感、半ば劣等感に苛まれているので、そのヘンの気分もあると思います。

    ・・・あと、個人的思い出としては、ジューシーフルーツという日本のバンドの沖山ってヤツが、ヒトのボウイのアルバム「ジギースターダスト」を自分の好きなねーちゃんに勝手に又貸しし、この曲の歌詞の辺りにラブレター的な自分の文章も加えていて、ところがおねーちゃんは本来の持ち主にレコードを返してしまい、そのレコードの持ち主から沖山のラブレターを見て爆笑したことがあります。・・・すいません、マニアックな話で。でも、この曲の切々とした気持ちがさせたワザかなと。

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    1. コメントありがとうございます。お話を伺い,いかに自分の気持ちが盛り上がろうとも「物証」だけは残してはならぬことが大変よくわかりました。今後の己の戒めといたします。

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  5. 対訳ありがとうございました。

    この曲は昔、ひどい体験をしていた時によく聞いていました。歌詞の意味は知りませんでした。結構ふざけたタイトルで、まさか、このような真面目で思いやりあふれた歌詞だとは思ってもみませんでした。
    歌詞の意味はわかっていなかったのですが、この曲が持つ人を救うパワーを、感じ取っていて、助けられていたのだと思います。

    音楽万歳です。

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  6. ボウイはお兄さんを自殺で亡くしてるそうですね。
    彼の苦悩と、精神の強さ(なんとか持ちこたえた)、優しさは、あの笑顔に映し出されています。
    本当に、本当に寂しい。ありがとう。

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。この曲を取り上げた当時,彼が亡くなる日がこれほど早く来てしまうとは夢にも思っていませんでしたが,こちらで取り上げたことでreima様のお役に立てたとすれば何よりです。

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  7. かなり前の記事へのコメント失礼致します。
    僕はまだ20歳そこらの若造ですが、高校時代にDavid Bowieと出会ってから今日まで数年間、彼の狂信的なファンです。その頃は、貴方の仰るような「全能感」と「無能間」の間で苦しみながら、現実逃避として音楽を浴びるように聴き漁っていました。そこで1番衝撃を受け、僕の人生を変えたのが、アルバム「The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars」並びにこの曲でした。それから彼のアルバムとシングルは全て聴き込み、少ないお小遣いで彼についての本を手に入れられるだけ買い、英語を勉強してノートに全曲の和訳(解釈)を纏めるなどしていました。これほど何かに熱中したことはありませんでした。純粋で多感な10代の頃に彼の作品に出会えた事が、僕の人生で1番幸福なことだと今でも確信しています。最近、何度もつらい事を体験し、一時は引き篭もって自殺しようとしました。その時も、ロープを首にくくる前に「1番好きなアルバムを最後に聴いてから死のう」と導かれるようにヘッドフォンをつけ、Bowieの「You're not alone!!!」という人間離れした叫びに助けられました。彼が亡くなったと知ったときは、親族が亡くなった時より落ち込み泣き狂いました。(あまりいい事ではないですが…笑)最期まで創造力を失わず、「David Bowie」を貫き通した彼は本当に僕のHeroです。
    …自分の話が長くなってすみません。僕は英詞のまま解釈したいという思いから、あまりこういった和訳サイトは閲覧しないようにしているのですが、たまたまこのページに辿り着いて、その内容にびっくりしました。最初のボードレールの詩への解釈が、僕のものと全く異なります。只、投稿者様の解釈の方がしっくり来て尚且つメッセージ性が強いので、これからはそう解釈して、この曲にこれからも助けられていこうと思います。こんな素晴らしいサイトを作って頂き本当にありがとうございました。
    長文、乱文申し訳ありません。

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