2013年7月1日月曜日

Foolish Games ジュエル (Jewel)

Young and Beautiful (Lana Del Rey)の回に「あなたのイチオシアーティストは?」と尋ねたところ,それに応えてある方がこのJewelを挙げてくださいました。
この曲の歌詞に関して,相手はI Knew You Were Trouble (Taylor Swift)に登場する相手のような,うぬぼれやのカスだと考えている人が少なくありません。そうかしれませんが,私の考えは違います。私には彼は単に主人公の考えるように反応しないだけのような気がします。
ところで,真偽のほどはわかりませんが,この曲はJewelの父について書かれたものだという話もあります。歌詞に登場する男性が主人公よりも年上に思えることを考えると,この曲の場合はそうなのかもしれません。
On the post of Young and Beautiful (Lana Del Rey), I asked your favorite artist that you think was the most underrated.  Replying to it, one of you named Jewel.
As for the lyrics, many people think the second person is a big-headed jerk like that in the lyrics of I Knew You Were Trouble (Taylor Swift).  Could be but I think otherwise.  To me it seems that he just doesn't react as she expected.
I'm not sure if it's true or not but I heard someone say it's about Jewel's father.  Thinking the second person in the lyrics seems to be older, I think it's likely.  
Foolish Games  (Jewel)
You took your coat off and stood in the rain,
You're always crazy like that.
And I watched from my window,
Always felt I was outside looking in on you.
You're always the mysterious one with
Dark eyes and careless hair,
You were fashionably sensitive
But too cool to care.
You stood in my doorway, with nothing to say
Besides some comment on the weather.

Well in case you failed to notice,
In case you failed to see,
This is my heart bleeding before you,
This is me down on my knees, and...

These foolish games are tearing me apart,
And your thoughtless words are breaking my heart.
You're breaking my heart.

You're always brilliant in the morning,
Smoking your cigarettes and talking over coffee.
Your philosophies on art, Baroque moved you.
You loved Mozart and you'd speak of your loved ones
As I clumsily strummed my guitar.

You'd teach me of honest things,
Things that were daring, things that were clean.
Things that knew what an honest dollar did mean.
I hid my soiled hands behind my back.
Somewhere along the line, I must've got
Off track with you.

Well, excuse me, guess I've mistaken you for somebody else,
Somebody who gave a damn,
Somebody more like myself.

These foolish games are tearing me apart,
And your thoughtless words are breaking my heart.
You're breaking my heart.

You took your coat off,
Stood in the rain,
You're always crazy like that.

コートを脱いで,雨の中に突っ立ってる
いつもそんな信じられないようなことばかりしてた
家の窓から眺めていたのに
いつも家の外にいてその姿を見てるような気がしたよ
掴みどころのない人で
濃い色の瞳をして髪の毛はボサボサだった
オシャレに関心はあったのに
そんなことにこだわるのはクールじゃないと思ってたから
家の玄関先まで来たのに
大事なことは何も言えず
ただ少し天気の話をしただけだった

ねえ,これでもまだ気がつかないの?
わかってないなら教えてあげるよ
目の前で傷ついて
こうして心が血を流してる
こうやってひざまづいてるんだって
それで・・・

こういうつまらない駆け引きで
ボロボロになってしまいそう
その無神経な言葉のせいで
心がズタズタになってくの
そうやってひどく傷つけているんだよ

朝はいつもステキだった
もらったタバコを吸いながら
コーヒー片手に話をした
アートに拘りのある人で
バロック時代が生き甲斐だった
モーツァルトが大好きで
大切な人の話をしてくれたよね *
私はそれを聞きながら
ヘタなギターを弾いてたの

ウソをつかないっていうのがどういうことか
よく教えてくれたよね
型破りで,クリーンで
真っ当な生活ってものが何なのか
ちゃんとわかってることだって
それを聞いてると
自分のやってることが恥ずかしくなった
きっとそんな風にしてるうちに
2人の進む道がズレちゃって
ついていけなくなったんだ

残念だけど,本当は思ったような人じゃなかったのかも
私のこと気にしてくれてる人だと思ってた
同じタイプだと思ってたよ

こういうつまらない駆け引きで
ボロボロになってしまいそう
その無神経な言葉のせいで
心がズタズタになってくの
そうやってひどく傷つけているんだよ

コートを脱いで,雨の中に突っ立ってる
いつもそんな信じられないようなことばかりしてた

(補足)

* loved ones 「愛する人・大切な人」という意味です。これが一体誰を指すのかはっきりわかりませんが,通常は「家族」です。

無論,loved oneと単数なら恋人でしょうが,朝を一緒に過ごす相手(主人公)に別の女(いや男かもしれませんが)の話をするとは考えにくい上に複数形です。

アラブの大金持ちならばいざ知らず,Jewelや我々の住む世界では,実際のところはさておき,表向きは一夫一婦制ですし,結婚にまでに至らなくともその考え方で付き合うでしょうから,やはりここは「家族」と考えるのが無難でしょう。

(余談)

この曲だけ聴いていると,相手は最低のつまらないヤツに思えるのですが,こういうスレ違いというのは意外に少なくないのではないでしょうか?

以前どこかで,彼女に「この服(A)とこの服(B)とどっちがいいと思う?」と聞かれたら,正解はAでもBでもなく,ましてや「どっちだっていいじゃん」では決してない。「どっちを着てもカワイイと思うよ」だと言うのを聞いたことがあります。

思うにこの歌詞の相手「オシャレに関心はあったのに,そんなことにこだわるのはクールじゃないと思ってた」という箇所から見て,そこそこセンスもいいと思われます。己の判断基準に自信がありそうです。

したがって本当に自分がいいと思う方を強力かつ饒舌にプッシュすると思われますが,主人公はそんなことはおそらく求めていません。実はもう心は8割方決まっているからです。したがって,相手が選んだのが自分の思っていた服であった場合はめでたしめでたしですが,そうでなかった場合にはお互いに不満が残ることになるでしょう。・・・・・・・不幸です。

まあこういう例は恋愛関係に限らずあることで「これだけは許せん」というものはお互いに違っている場合がほとんどです。実はこの歌詞の主人公も,相手に言わせれば色々やらかしているのかもしれません。

このように,自分には「それをやるか!」と思えることが,相手にとってはごく普通のことであり,ために仲がこじれてしまったりするのですが,この「それをやるか!」という点,言いかえれば「それだけは許せん」が同じであることが,世に言う「価値観が合う」ということなのかもしれません。

4 件のコメント:

  1. vestigeさん、こんにちは。

    Jewelが取り上げられていたので嬉しくてお邪魔しました。
    先日の「この一曲を聴け」企画で、別のアーティストを挙げてコメントさせて頂いたのですが、たまたまJewelの曲「life uncommon」とどちらにするか迷ったばかりだったからです。

    この「Foolish Games」も好きな曲なのですが、vestigeさんの「相手が自分の考えるようにに反応しないだけ」という解釈、
    なるほどなあと思いました。
    終始一貫して女性側の事情が棚上げされた世界なのも、女性側の価値観によってのみ支えられているからであり、そう考えればすれちがい感もより際立ってくるように感じます。
    男である私としては、ここまで立つ瀬がない状態で歌にされてしまうとやや気の毒な気もしますが…。

    ところで、こちらでも取り上げられているGabriella Aplinに最近注目しているのですが、彼女の歌を初めて聞いたとき連想したのが、この「Foolish Games」の頃のJewelでした。
    私だけかもしれませんが、二人とも少しかすれて微妙に揺れる声というか、消えていく余韻が残る声だなあと思います。

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    1. コメントありがとうございます。大学時代最も記憶に残っているのが「民事裁判では一方が100%悪いということは決してない。そもそもそれなら裁判にならない。裁判になるということは,双方にある程度の言い分があるからだ」という言葉でした。
      それまでドラマや映画で「悪対正義」の構造しか見ていなかった私には衝撃でしたが確かにその通りです。
      Jewelの声は,私にはGabrielle Aplinよりも,むしろ女優のRenée Zellwegerのそれに似ているように思えますが,これは私がGabrielle Aplinの方を先に知ってしまったためかもしれません。

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  2. Renée Zellweger、わかる気がします。

    でも、何であれ「知る順番」というのは大きいですよね。
    知っている総量とは別に、何をどの順番で知るかによって価値観は大きく変わると思いますし。

    音楽もそうですが、どれだけ触れても、自分の知っているものなどその世界の広がりからすればほんのわずか。その意味では、好きなものを語る時こそ抑制的であるべきと自戒しているのですが、好きゆえについつい話し過ぎてしまいます(笑)

    私の猫の額のごとき音楽世界も、こちらのサイトのおかげで少しは広げることができそうです。
    今後とも更新楽しみにしております。

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    1. コメントありがとうございます。「好きなものを語る時こそ抑制的であるべき」とのお言葉,全くもって至言です。私など人称代名詞の話になると本当にいつまででも話してしまうので,そのお言葉を他のどなたよりも戒めにせねばならぬところでしょう。
      音楽世界の狭さに関しては,自他ともに認める私ですが,それだけになるべく先入観なく時代やジャンルに囚われず,素直に面白いと思ったものをと心がけております。ここ本館が少しでもロメオ様のお役に立てているとすれば,それこそ望外の喜びと言わねばなりません。

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