2014年2月28日金曜日

You Oughta Know アラニス・モリセット (Alanis Morissette)

これから主人公はどうするんでしょうか?今まで和訳したなかでも1・2を争う「コワイ」曲で,まるで目の前で,主人公が相手を恨みつつ,相手に似せた人形に針を突き刺すのを見ているような気がします。あっ,こっち見て笑わないで。恨むべきは私じゃないですからね。
What's she gonna do?  Probably this is one of the scariest lyrics I've ever translated.  It felt as if the protagonist's bitching about the second person in front of me, sticking needles in an effigy of him.  Oh don't smile at me, please.  I'm not the one to blame, you know.
You Oughta Know  (Alanis Morissette)
I want you to know, that I am happy for you
I wish nothing but the best for you both
An older version of me
Is she perverted like me?
Would she go down on you in a theater?
Does she speak eloquently
And would she have your baby?
I'm sure she'd make a really excellent mother

'Cause the love that you gave that we made
Wasn't able to make it enough for you
To be open wide, no
And every time you speak her name
Does she know how you told me
You'd hold me until you died
'Til you died, but you're still alive

And I'm here, to remind you
Of the mess you left when you went away
It's not fair, to deny me
Of the cross I bear that you gave to me
You, you, you oughta know

You seem very well, things look peaceful
I'm not quite as well, I thought you should know
Did you forget about me, Mr. Duplicity?
I hate to bug you in the middle of dinner
It was a slap in the face
How quickly I was replaced
And are you thinking of me when you fuck her?

'Cause the love that you gave that we made
Wasn't able to make it enough for you
To be open wide, no
And every time you speak her name
Does she know how you told me
You'd hold me until you died
'Til you died, but you're still alive

And I'm here, to remind you
Of the mess you left when you went away
It's not fair, to deny me
Of the cross I bear that you gave to me
You, you, you oughta know

'Cause the joke that you laid in the bed
That was me and I'm not gonna fade
As soon as you close your eyes, and you know it
And every time I scratch my nails
Down someone else's back I hope you feel it
Well, can you feel it?

And I'm here, to remind you
Of the mess you left when you went away
It's not fair, to deny me
Of the cross I bear that you gave to me
You, you, you oughta know

これだけはわかってね
別に恨んだりしてないから
2人が幸せになるように
心の底から祈ってる
だけどアタシより老けてるよね?
やっぱりこういうヤな性格?
劇場に行ったら
「不適切」なこともしてくれんのかな?
あの人って口が立つタイプ?
子どもは産んでくれるわけ?
あの人ならきっとステキな
お母さんになれるよね

だってこのアタシとの
あの程度の関係じゃ
ダメだったんでしょ?
だから黙ってたんだよね
あの人には
名前を呼ぶたびに
ちゃんと教えてあげるわけ?
アンタがアタシに言ったこと
言ってたよね?
アタシを死ぬまで離さないって
なのにどうしてまだ生きてんの?

だからここで教えてあげる
忘れてるみたいだからね
アンタに捨てられた時
アタシがどんなに惨めだったか
あんまりでしょ?
貰ってつけてた十字架まで
アタシからもってくなんて
だからこのことだけは覚えといて

すごく元気そう
別に問題もないみたい
だけどこっちはそれほどじゃない
知りたくない?
気になるでしょ?
アタシのことは忘れちゃったの?
ねえ「二股」さん
ディナーの真っ最中に
うるさくからむなんてイヤなんだけど
まるで顔を正面から
平手打ちされた気がしたよ
あんなにさっさと乗り換えられちゃ
あの人とヤル時は
アタシのことを考えてるの?

だってこのアタシとの
あの程度の関係じゃ
ダメだったんでしょ?
だから黙ってたんだよね
あの人には
名前を呼ぶたびに
ちゃんと教えてあげるわけ?
アンタがアタシに言ったこと
言ってたよね?
アタシを死ぬまで離さないって
なのにどうしてまだ生きてんの?

だからここで教えてあげる
忘れてるみたいだからね
アンタに捨てられた時
アタシがどんなに惨めだったか
あんまりじゃない
プレゼントの十字架まで
取り返していくなんて
だからこのことだけは覚えといて

だってベッドでネタにしてた
あれはアタシのことだった
だけどアタシはこのまますぐに
消えていったりしないから
いくら目を閉じたってね
そのくらいわかってんでしょ?
だからアタシが爪を立て
誰かの背中を快感で
引っ掻いていくたびに
アンタにそれが伝わればいい
どう?わかる?

だからここで教えてあげる
忘れてるみたいだからね
アンタに捨てられた時
アタシがどんなに惨めだったか
あんまりじゃない
プレゼントの十字架まで
取り返していくなんて
だからこのことだけは覚えておいて

(余談)

ご存じの方も多いかもしれませんが,私は英語の歌詞を和訳する際,なるべく人称代名詞を省くことにしています。日本語の人称代名詞は情報量が多いため,歌詞の世界が限定されてしまうせいですが,場合によっては逆にそこを利用することもあります。

その例が「お前」です。この言葉の持つ相手との距離感が比較的近いため,主人公(つまりアーティスト)が男性で,かつ曲のテーマが破局である場合には,この人称代名詞が実にしっくり来ます。「お前」という言葉を使うほどに親しい関係でありながら,破局したことで相手との間に距離ができてしまったことが余計に切ないわけです。この場合「君」や「あなた」では,最初から相手との間に距離があると感じられるため,破局ソングに使ってしまうとその深刻さが伝わりにくくなってしまいます。

とはいうものの,これはあくまでも主人公が男性であった場合。女性アーティストの場合はまた事情が異なります。性差別主義者と言われるかもしれませんが,相手に対して相当の怒りを感じている場合を除き,女性は通常相手を「お前」とは呼びません。

無論特殊な職業についておいでの方は,敢えて「お前」あるいは「奴隷」と相手を呼ばねばならぬ場合もありましょうが,一般的にはなかなか考えにくい。強いて言うなら非常に親しい「友人」あるいは「後輩」に対して使うといったところがせいぜいでしょう。

したがって,女性が相手を呼ぶ場合は,前で述べた「君」や「あなた」を使うことが一般的であり,実際日本語で書かれた女性アーティストの曲では相手を「君」と呼んでいるものが少なくありません。

しかし,このような内容の曲(=かなり赤裸々な破局ソング)の場合,相手との距離が近いことが重要なポイントなので,最初から相手との間に距離を感じさせるこのような人称を使ってしまうと,曲の持つ「恨み節」的側面が薄れてしまい逆効果です。そこで今回は「アンタ」を採用しました。

図にするとこうなります:

(男性が主人公)あなた<君<お前(左に行くほど相手との距離が広い)
(女性が主人公)君<あなた<アンタ(左に行くほど相手との距離が広い)


このようにして考えてみると,破局ソングの場合,相手に対して使う人称代名詞によってその「恨み節」度にかなり違いが出るような気がします。

5 件のコメント:

  1. 歌詞を意識してないときのイメージとかなり違ってて驚きました。
    ストレートな歌詞も怖いですが私には隠喩的な歌詞のほうが怖くなったのかなと感じました。
    いつも陰ながらVestigeさんを応援しています。がんばってください!

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  2. いつも楽しく拝見しております。
    日本語の人称代名詞は微妙なニュアンスを含むことがあるので
    Iとyouの世界にあてはめるのは難しいですね。

    アラニスはもっとも好きなアーティストの一人です。
    この曲の衝撃が強すぎたのか男を恨む女のイメージが
    いまだにあるようですが、実際はそういう歌はそれほど
    多くないんですけどね。

    英語には疎いので、まったく見当はずれな話かもしれませんが、
    歌詞の中の十字架は彼が取り返したのではなく、
    彼が主人公に背負わせた苦難ではないでしょうか。
    bear the cross で受難に耐えると辞書にあるので。
    全然違ったらすみません・・・。
                                              ほし

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    1. コメントありがとうございます。さて,bear the crossの件ですが,仮にそれが仰るように「bear the cross(苦難に耐える)」だとすれば,その意味(苦難に耐えさせる)として使うためにはmake, haveなどの使役動詞をその前に使い,make 人 bear the crossという形にせねばなりませんがここにはそれらがありません。
      またこの連は最初のremind you of xxx と同じ形,すなわちdeny me of xxx になっていると思われますが,denyには「〔必要なものなどを〕与えない,自由にさせない」という意味があり,Can a hospital deny you of treatment if you don't have insurance?(保険がなかったら病院は診療を断れるのか?)という風に使われます。
      したがって,ほし様の仰る意味であるとするならば,その恨んでいる相手が(主人公が必要としている)苦難を主人公に与えないという意味になってしまい,恨み節としての全体の流れに合わなくなると私は考えておりますが,ただ,これほどの歌詞を書ける彼女であれば,ほし様の仰るようなイメージまでも織り込んだ上でこうしているのかもしれません。

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    2.  はじめまして。いつも参考にさせて頂いております。クラシックな曲でもVestigeさんの和訳を拝見するとハッとするような、新たな発見が多くてびっくりしてます。
       ところで、他の方もコメントしているCrossですが、自分は、ぶっちゃけ、中絶したのに(したから)彼が離れて行くのはフェアじゃない、って歌だと思ってました・・・まぁ、明示的な根拠はないので何となくなんですが・・・ドロドロ過ぎますね(笑)。

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    3. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。ただ仮にその内容だったとすると,あまりに生々しく壮絶過ぎて私には到底和訳できなかったと思われます。

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