2014年7月1日火曜日

Ultraviolence ラナ・デル・レイ (Lana Del Rey)

とにかく歪んだ恋愛関係を歌わせたらLana Del Reyの右に出るものはいないのではないかと思ってしまいます。歌詞の中で主人公は「天国なんて,すぐそばにあるんだから,2人のためなら
どんなことだってするつもり」と歌っていますが,彼女がそれを信じているようには思えません。Pharrell WilliamsはHappyのヴィデオのなかで手放しで喜びそれが音にも表れていましたが,Lana Del Reyの場合はそういう風に歌っていてもなかなかそう聞こえません。そこが他のアーティストとは一線を画しています。
I think there is no rival to Lana Del Rey when it comes to a song about an unhealthy relationship.  In the lyrics the protagonist sings, "Heaven is on earth, I would do anything for you and me." but I don't think she believes it.  While Pharrell Williams appeared to be wild with joy and sounded so in his video Happy, she hardly sounds happy even when she sings she is.  That's what makes her stand out.
Ultraviolence  (Lana Del Rey)
He used to call me DN
It stood for deadly nightshade
Cause I was filled with poison
But blessed with beauty and rage
Jim told me that
He hit me and it felt like a kiss
Jim brought me back
Reminded me of when we were kids

[Chorus]
This is ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
I can hear sirens, sirens
He hit me and it felt like a kiss
I can hear violins, violins
Give me all of that ultraviolence

He used to call me poison
Cause I was poison ivy
I could have died right there
Cause Jim was right beside me
Jim raised me up
He hurt me but it felt like true love
Jim taught me that
Loving him was never enough

This is ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
I can hear sirens, sirens
He hit me and it felt like a kiss
I can hear violins, violins
Give me all of that ultraviolence

We can go back to New York
Loving you was really hard
We can go back to the start
Where they don't know who we are
Heaven is on earth
I would do anything for you and me
Blessed is this union
Crying tears of gold like lemonade

I love you the first time
I love you the last time
Yo soy la princesa, comprende mis white lines
Cause I'm your jazz singer
And you're my cult leader
I love you forever
I really love you forever

This is ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
Ultraviolence
I can hear sirens, sirens
He hit me and it felt like a kiss
I can hear violins, violins
Gimme all of that ultraviolence.

あの人には
ベラドンナって呼ばれてた
毒のある花の名前よ
用心してなきゃ酷い目に遭う
そんな感じの子だったけど
とにかく見た目がキレイだったし
情熱的な性格だったって
ジムがそう言ってたの
ぶたれても
キスしてるような気がしてた
ジムに会って思い出したの
お互いの子どもの頃の思い出を

[Chorus]
これがウルトラヴァイオレンス *
あまりに酷くて度を越した
暴力のことをそう呼ぶの
こうして耳を澄ましていると
サイレンが聞こえてくる
ぶたれたのに
キスしたような気がしたの
じっと耳を澄ましていると
ヴァイオリンの音も聞こえてくる
いいのよ
思う存分好きにして

あの人には
危険な女って呼ばれてた
だって猛毒の
トリカブトみたいな子だったから
その気なら
あそこですぐに死ねたのに
自分のすぐそばに
ジムがいてくれたんだから
あの人が今の自分を育ててくれた
酷いこともされたけど
その時は本当の愛に思えたの
だけどジムが教えてくれた
愛してるってそれだけじゃ
どうしてもダメなんだって

これがウルトラヴァイオレンス
あまりに酷くて度を越した
暴力のことをそう呼ぶの
こうして耳を澄ましていると
サイレンが聞こえてくる
ぶたれたのに
キスしたような気がしたの
じっと耳を澄ましていると
ヴァイオリンの音も聞こえてくる
いいのよ
思う存分好きにして

New Yorkに戻らない?
ただ愛するだけでも
本当に大変なんだもの
最初に戻って
2人のことを誰も知らない
そういうとこから始めるの
天国なんて
すぐそばにあるんだから
2人のためなら
どんなことだってするつもり
こうしてお互い結ばれたの
それがとっても嬉しくて
流す涙さえ
レモネードみたいに輝いてる

最初の時から愛してたから
最後の時もそうするの
アタシはお姫様で
あの「白線」のことも知ってるの **
アタシはあなたのジャズ・シンガー
あなたはカルトの教祖様
いつまでも愛してる
本当にずっと愛してる

これがウルトラヴァイオレンス
あまりに酷くて度を越した
暴力のことをそう呼ぶの
こうして耳を澄ましていると
サイレンが聞こえてくる
ぶたれたのに
キスしたような気がしたの
じっと耳を澄ましていると
ヴァイオリンの音も聞こえてくる
いいのよ
思う存分好きにして

(余談)

* ultraviolenceという表現は,Anthony Burgessが自著の「時計仕掛けのオレンジ」の中で用いたもので「excessive and/or unjustified violence」という意味だそうです。

** 鼻から吸引できるように直線状に並べた薬物のことを指すように思われます。


(余談)

通常は「愛」という言葉をなるべく避けている私ですが,今回は思う存分使ってみました。彼女の曲には先日亡くなった渡辺淳一の作風(読んだことがないので本当かどうかはわかりませんが)に通ずるものがあり,不思議とこの言葉がぴったりはまるような気がしたためです。

それはともかく,これだけ「前向きに力強く」がもてはやされる世の中にあって,この潔いまでの薄幸感と被虐感はそれだけですでに「芸」になりえます。このLana Del Rey,実は芸名で本名はLizzy Grantというのですが,ここまでこの路線で押してこられると,いっそ「薄井幸代(うすい・さちよ)」という邦題ならぬ邦名(日本名)をつけた方がいいのではないかとさえ思えてきます。

2 件のコメント:

  1. いつも拝見させていただいております。
    Ultraviolenceの意味が気になってたので
    すっっきりしました。
    Lana Del Reyは彼女自身と曲の雰囲気がマッチしていて大好きです。
    薄井幸代に笑ってしまいました。笑

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。実は「薄井幸代」は自分でも気に入っているネタだったので,そのように仰ってくださると苦労が報われた気がいたします。ただ自分でも苦労のベクトルがいささか違っているのではという気がしないでもありません。

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